第2話ピンクのハートのUSB
2023.01.10 SEASON 1「ワッ、ア、ア」
コンビニを飛び出した。ちょこちょこ歩く女の子の前に出て行った。不審者じゃん……。
女の子は防犯ブザーを鳴らすでもなく、笑ってくれたけど。
「変なの。どうしたの」
「ひっ、人に向かって変とか言うと本当に変な人だったとき危ないよ……?」
「お兄さんは危ない人なの?」
「違う……あの、その、リュックについてるストラップ……かわいいなと思って。どこで手に入れたのか教えてくれないかな」
「え? ぬいのこと?」
「ぬいぐるみもかわいいです。でもそれじゃなく、ピンクのハートの……USB」
「ゆーえすび? わかんない。お姉ちゃんが捨ててたけどかわいかったからつけてるだけだよ。どこで買えるのか聞いてあげようか? なんかのグッズなの?」
これだけで今日のコミュニケーションノルマを達成した気がする。
あああ、でも身長差が50センチ以上ある。
どうしよう。お金を出して買うのはヤバい。僕がお縄になる。書き換え能力で似たようなものをつくって付け替える? いやだめだ、付け替えるときにタイーホ案件。ていうかこのまま隣を歩いてるだけで御用じゃん……。
「ねえ、変なお兄さん」
「はいっ!」
隣を歩き続けていることで怒られるのか。警察に通報されるのか。
女の子は、僕のパーカーの裾を引っ張ってきた。
「わたし、晴海に行きたいんだけど。どの電車乗ればいいの?」
「えっ?」
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