第4話フィジカルスーパーマン!
2023.01.10 SEASON 1 ガーガー言いながら紙を排出する機械に祈った。早く。
100枚目が出てきたと同時に、コンビニを飛んで出た。まさに文字通り、走り幅跳びかってくらい大股で。USBメモリもちゃんと握りしめて。
またシャッターを持ち上げて、葉胡の背後に現れたのが10時55分!
葉胡は、一人ではまるで持ち上げられなさそうなシャッターにばかり目をやっていたが、紙の束を受け取ったときにやっと俺が期待していた笑顔を見せてくれた。
「スーパーマンみたい」
「俺、足速いからな!」
場内にアナウンスが流れ、即売会が開始される。
近くをうろうろしていた女の子が、早足になって寄ってくる。葉胡の一番目の客が本を買い、印刷したてほやほやのA4の用紙を受け取っている。キャイキャイと盛り上がって、キラキラと光っている。
なんだ? このキラキラは。
続々と、葉胡のブースには客が来た。ヨドンヨルスを纏う人もいたが、キラキラ粒子を出している人もいた。
見続けてしまっていると、ちょっと行列ができてきた。販売を一人でやっている葉胡がてんやわんやになりかけているので、机の内側に入って金銭授受を手伝った。
キラキラしたものが飛ぶのが心地いい。地球人の目には見えてねえのかな。じゃあこれはなんだ。新手の異星粒子?
客の塊が終わり、ひと段落すれば葉胡は何度もお礼を言ってきた。俺が勝手に手伝ってしまっただけなのに。
「本当にすみません。ありがとう」
「全然。すげえなあ。めっちゃ人気じゃん。まさか漫画家だったとは」
「漫画家っていう呼び方は違うかも……」
「なんでだよ。漫画書いて売ってんなら漫画家だろ?」
「うーん。これ、私のオリジナルってわけじゃないの」
「うん?」
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