きみとコスモ

STORY

第1話特別企画室の任務

2023.01.10 SEASON 1

 予算配分。稟議の壁。地球社会の販売促進運動の難しさにぶちあたっていた。
 正直なところ、もし俺たちが地球人だったなら、この会社のプロジェクトがどう転ぼうがどうでもいい。クビにならなければそれでいい。
 でも俺らの目的が会社にしがみつくことではないから困っている。

『敵惑星バッドギャンプが地球侵略をはじめているため、阻止してほしい。排他的経済宙域を守るためにも、バギャ星に地球を乗っ取られては困るんだ』

 俺らの母星にいる司令官からの緊急任務が脳内でリフレインしていた。
 その阻止に必要な物質を地球人用に変えた商品が、今販売しているのになかなか売れないプロテイン「ぷろて日和」というわけで。

「今日もバギャ星の粒子……えっと、ああ、ヨドンヨルスか。ヨドンヨルスに寄生されてる女の子見たんだよねえ」
「ルロン氏も? 僕も見たよ。ヨドンヨルスは不健康を食い物にして増殖するから、現代人は餌食になりやすいね……しかも撃退には地球人に経口でぷろて日和を摂取してもらわないといけないっていうのがな。どうにかできないかな。たとえばガスで散布とか……」
「今のところはぷろて日和を飲ませるしかないからな。買わせるしかないんだよなあ」

 やっぱりどうにかして売らなきゃいけない。地球用の物質をつくるのだって予算が必要なので、今の俺らの立ち位置が危ぶまれては任務遂行できなくなる。

 母星は地球を侵略したいと言えど、支配したいわけじゃない。バッドギャンプみたいにじわじわと取り込んで地球を蝕みたいんじゃなく、表面上友好的に仲間になりたいんだ。

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