第6話花を咲かすのはきみのため
2023.01.10 SEASON 1 また木陰に移動して化粧をしている間、冴深のパーカーがドレスに変わる。寒い寒いと言われたけど、コスプレイヤーさんたちはもっと露出度高い人もいるんだし気にしないでよね。
冴深と妹ちゃんは買い物に行き、残された3人で輪になる空間は、ちょっとだけ気まずかった。
けどねえ、オレから見ると2人は「喧嘩するほど興味を持ち合っている」ように見えるんだよ。好意の反対は無関心って言うじゃない?
自分にない部分への憧れは、ときに好意になるし、ときに悪意になる。必ずしもうまく折り合いがつくわけではないけど、ひとつでも共通の何かがあれば、理解しあえる可能性はあるんじゃないかな。
オレは、美肌について2人からの質問責めを受けつつ、自社商品の宣伝を張り切ってしまった。
「衣緒、1ヶ月後にどっちがきれいになれてるか勝負しよ」
「いいですよ。私は元々レイヤーしてるので化粧はうまいですし、勝ち確です」
「はあ? ギャルなめんなよ? あーし、もう辞めちゃったけど空手やってたからストレッチとかはできます〜。全体感で勝負だからね!」
「ルロンさん、1ヶ月後に無加工の写真送るんで勝敗つけてください!」
「ええ……荷が重い……」
ぷろて日和を買ってくれることを交換条件にして引き受けた。
女の子に勝敗をつける気はゼロだけどね。